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智頭中学校保健委員会 2021/12/6(金)15:30~ [送付 2021/11/24 14:15]

講義[新型コロナウイルス感染症、インフルエンザなどの理解と対応]

学校医 智頭病院小児科医 大谷恭一

事前にお寄せいただいた質問等

1)新型コロナウイルス感染症:今後の対応と学校(部活、給食)
2)新型コロナウイルス感染症第6波は来ますか?
3)今季、インフルエンザの流行は?
4)冬季の感染症対策
5)空気清浄機は感染症対策として有効か?

考える視点     参照:智頭小学校保健委員会 2021/108 資料 
A) 第6波:欧米の実情と日本(日本人・生活様式)差異
B) ブレークスルー感染(再感染)の理解
厚労省:どの感染症に対するワクチンでも、その効果は100%ではありません。ワクチンを接種した後でも感染する可能性があり、それを「
ブレークスルー感染」と呼びます。新型コロナワクチンの場合では、2回目の接種を受けてから2週間くらいで十分な免疫の獲得が期待されますので、それ以降に感染した場合にブレークスルー感染と呼んでいます。
米国CDC:Breakthrough Infections 付)CDC: Centers for Disease Control and Prevention 
正式な邦訳なし CDC本部 約7,000人;支部 約8,500人 ⇔ 国立感染症研究所 300人余(<330人)

A) 日本 

世界に例がないほどのマスクの高い着用率~室内・車内は勿論、戸外においてもほぼ着用。&マスク性能の向上と着用技術も高まっている。飲食店における飲食環境・機会も感染制御の質が高まり、“黙食”やマスク会話も誘導されている。ライブハウス、カラオケでのクラスター発生も激減し、浴場では“黙浴”も。多種多様な生活場面にて、各々の対策の質が高まっている。
 以上を勘案すると、日本においては、第6波を来すことはない。勿論、多少の患者数の増加は必然であるが、全国的な流行とはならず、局地的に留まるとの読みをしている。さらに、小さなクラスターの報告においても、死亡者が増えることはない。2回のワクチン接種が普及した成果である。

答:1)新型コロナウイルス感染症:今後の対応と学校(部活、給食)
「収束」から「終息」段階にあり、“新生活様式”を順守することで、制約はない。

ゼロ密を目指そう! ~一つの密でも避けましょう~
※ ①インフルエンザほか、飛沫・接触感染による多種多様な気道感染性ウイルス、②ノロウイルスなど感染性胃腸炎対策、③溶連菌など細菌性咽頭炎を考慮すれば、感染制御技術を劣化させてはならない。

答:2)新型コロナウイルス感染症第6波は来ますか?
全国一斉に感染者数が急増した4・5波ほどの流行はない! ~ 感染症の専門家などは、発言に係る自己防衛の観点から、かつ、国や地方行政の担当者も安全第一の発言をせざるを得ない。
※ マイカーの運転:「事故にあるかもしれません。安全運転に努めてください」の発言並です。

答:3)今季、インフルエンザの流行は?
2021/22年シーズンのインフルエンザ流行予測:2020/21年シーズン同様に、流行はほぼない!
根拠)① 新型コロナウイルスδ株が優位であり、ウイルスの干渉作用により、インフルエンザウイルスが流行する状況にない。① 補:2009年当時の新型インフルエンザ(H1N1)の汎流行を契機に、それ以前のAソ連型(H1N1)は流行は地球上から消滅した。ウイルスの干渉作用による。
 ② 新コロ禍中以前の流行期と比べ、高いマスクの着用率、手指消毒機会の増加ほか、多種多様な感染制御策が日常生活において定着している。このことからも、飛沫・接触感染機会は減っている。

答:4)冬季の感染症対策
新型コロナウイルス感染症対策で啓発されている方策の熟達を!
全ての飛沫・接触感染に有効です。
※ 冬季の生活空間の特徴:暖房・換気の低下・空気の乾燥
乾燥 → 飛沫が床面などに落下するまでに水成分が蒸発し、飛沫核感染(=空気感染)!

インフルエンザ流行期:学級・家庭・職場内で感染者が出た際は、(出来れば流行情報を基に感染者が出そうな段階から、)室内の加湿に配慮することが大切(:50%以上を保つ!)

付)エアゾル感染 = 飛沫感染+飛沫核感染 (下図(一部改変):出典
飛沫感染:飛沫はすぐ落ちる。飛距離:1-2m程度

飛沫核感染:長時間浮遊する。

飛沫核感染の例:

 麻疹(はしか)・水痘(みずぼうそう)・結核

 換気の悪い室内空間における新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ

インフルエンザは、暖房が効いて空気が乾燥している大型商業施設、公共交通機関、映画館、飲食店などで、飛沫核感染
の状態になり、感染が拡散し易い。(:新型コロナウイルス感染症も同じ)発症1-2日前から感染性を有している事実に留意。軽症例はくしゃみ、鼻汁程度で推移し、
自己抗体を産生するので、受診することもなく、通常生活を通じて感染が広がるのが常です。

A補)新型コロナウイルス感染症が、日本において、専門家も予想外の全国的な「収束」から、鳥取県などでは「終息」に近い状態に至ったのは多様な要素があります。(以下、順不同) ① 世界トップレベルに至っているワクチン接種率 ② マスクの着用率の高さ(不要と思える“0密”環境でも着用している実情:大谷は適宜外しています。)③ 当初と比べて、マスクの適切な着用が定着 ④ 不織布マスクの普及 ⑤ 飲食店・ホテル等での感染制御の徹底(:例外施設もありましょうが・・・)

答:5)空気清浄機は感染症対策として有効か?
ノドを保護する観点で有効:加湿機能も活かしたい。乾湿計!

オマケ:多人数での会食等(~忘年会・新年会・送別会・・・)
油断大敵:大前提
F 同じ屋根の下で暮らし、日常的に飲食を共にしている家族・親族はOK!(わが家は8人での外食等)
G 職場の仲間・グループ:8人まで(4人×2机)の会食に留める段階 :人数が多い職場等は 籤 をするなどし、遊び心を活かして組合せを設定し、互助会等の金銭補助も活かす。勿論、事前届け出制として、飛沫が飛び交う(新コロ以前の)交流・親睦様式は避ける。そう、“紳士的・淑女的”に、小声での笑顔会話とします。酔って制御が出来なくなる状態の仲間を出さないように、1次会で止めます。

◇ 感染拡大期に、多人数での会食等を率先して止めるべきは公務員・公職(:民間が後になる。)

◇ 感染収束後に、多人数での会食等を慎重に再開すべきは公務員・公職(:民間が先になる。)

各々、油断・失態があって、クラスター発生事例となれば、マスコミ・世間から非難を受けるのは公務員・公職

0密

本稿を智頭中(担当者)に送付したのは、2021/11/24 14:15 でした。

 南アでデルタ株を凌駕する勢いのオミクロン変異株のニュースが出たのが11/26で、昨日 11/29 には岸田首相が「外国人の入国を全て禁止」する措置としました。

 新コロのわが国での流行開始が、世界初の武漢株から西欧での流行主流のアルファ株になっていた際、当時の安倍首相内閣が、入国停止措置を怠ったために、全国的な流行を阻止し得なかった反省を踏まえてのことで、情報が曖昧な現状における水際作戦としては是です。

 以下は、鳥取県東部医師会報の担当者に原稿[続 スイス悠々(21)新春の夢想]を送付した(2021/11/29)後に記しました。

<HP版備忘録>

 
◆ 《前略》
 本文の末尾に「 スイスでのカヤックは2022年初夏に実現できるのか・・・。南アで報告された3日後、オミクロン変異株の拡がりを懸念し、日本政府が外国人の入国を全面禁止した2021年11月29日に記しました。」と書きました。新年号が届くのは、初春の気配が失せた正月月末になります。つまり、今から2か月後のことであり、ハテ、オミクロン変異株に係る動向がどうなっていましょうか・・・。

 
 南アの状況では、世界を席巻しているデルタ株を凌駕して流行しているようです。がワクチン接種率が30%台に留まる同国と、2回のワクチン接種を国民の大半が終えた地域とでは流行の重み自体が異なりましょう。
 とくに、日本は9月以降専門家も疑問視したほどの勢いで感染が収束し、今や、終息の域にあります。日本と同等・以上の2回のワクチン接種率にある韓国や多少は下がるが過去最大級の感染者数が出ているドイツなどとの違いは、自身にとっては明白です。

 
 日本人の国民性は、例えば、東北大震災において、犯罪が希少で、わずかの食料品を行儀よく列をなして受け取る様は、世界を驚愕させました。(食料品を有する店舗は無料で供出し、その際も列をなして、順々に受け取っていました。炊き出しなども然りです。)
 日常的にも、例えば、電車・列車を待つ際の列は、ホームに停車位置(・ドアの位置)が明記されていることもありますが、乗客は列をなして待ちます。下車、乗車の際に、人を押しのけて・・・といったようすは見ません。これも世界的には例外で、自身が体験した西欧ではあり得ないことです。コロナ禍中で中断する前のスイスでも列車編成は示されていますが、何となくの乗車口に乗客がたむろし、列車が徐行するのに合わせて、群れが移動し、タイミング良くドア位置に立った人から(下車する人がいなくなってから)順々に乗車します。

 
 つまり、cm単位で、列車がきちんと停車することがありません。何故? 今、初めて気づきましたが、列車は電気機関車が牽引するタイプが主流であり、指定の停車位置に止めることが難しいためなんかもしれません。
 都市間特急で、日本の新幹線のような列車は例外的にありますが、そもそもホームに乗車口がきちんと明記されていません。おおよそこの辺り・・・ 的な下げ看板がある程度です。

 脱線しました。

 
 日本人の感染制御に係る国民性では、マスクの着用状況もあります。“0密”環境の戸外の道路を歩く際や、公園散策においてもマスクを着用している有様です。飲食店など店舗の対策は、(小生を含め)ほぼ全員が順守します。日本における“村八分”文化なのかも知れません。或いは、“お上に従順”で、日常的にデモを見ることは少ない文化(、とくに、破壊行動を伴うデモは皆無!)です。
※ “村八分”:「村のおきてを破った村人を、他の村人が申し合わせて、のけものにすること。転じて、一般に仲間はずれにすること」(Oxford Languages)

 
 小生は再三再四“村八分”に会う言動をしていると自認します。
 本稿の内容を書いていること自体、例外的なことで、“出る杭は打たれる”結末ですが、わが彼女談“出過ぎた杭は(高すぎて他の人から)打たれない”(笑)。
 《後略》

 本題に戻ります。「日本・日本人とオミクロン変異株」については、全国的な流行は季節性インフルエンザ同様に、毎年繰り返されると診ます。

 一方、これまでの季節性インフルエンザの流行は、地球上から失せます。2009年当時のA型新型インフルエンザ(H1N1)が汎流行した後、従来のAソ連型(H1N1)の流行が失せたのと同様に。

 かつ、季節性インフルエンザの流行により、施設入所中の高齢者、基礎疾患のある方などを主体に、超過死亡が話題になって来た。例えば、(新コロ渦以前の)2018/19シーズンは「2018/19シーズンは3,276人であり,、直近5シーズンでは3番目と特別に大きな超過死亡が発生したわけではなかった」と、感染症情報センターHP「2018/19シーズンにおける超過死亡の評価」に明記してある。

《 理解を深読みするための資料集 》 2021/11/30 04:55 時点

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